Q:胚移植後の生活で制限はありますか? | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

*

Q:胚移植後の生活で制限はありますか?

 

胚移植後 の生活について、多くの患者様が疑問を持たれているようです。胚移植後の行動制限が必要なのかどうか、解説させて頂きます。

胚移植直後に安静でいること、ベッドで休むことなどは妊娠には関係がなく、必要ないと数々の報告があります。https://academic.oup.com/humrep/article/12/11/2489/664900

https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(06)04531-6/fulltext

当院でも胚移植後はベッド安静などは支持しておりません。ほとんどのクリニックでは安静の指示はないと考えられます。しかし、胚移植した日から妊娠判定日までの生活に関してはどう過ごすのがベストなのでしょうか?医師によって意見が異なることがあるかもしれません。

 

胚移植に関係なく、日頃の過度な運動習慣がある患者は妊娠率が低下し、適度な運動習慣がある患者では妊娠率は少し上昇するという報告があります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22425198/

 

また、体外受精を受けている患者を対象とした、体外受精前の定期的な運動と妊娠の関係に関する報告があります。週に4時間以上1〜9年間運動した女性では、運動歴がない女性よりも妊娠率が低下するという報告でした。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17012457/

 

しかしこの研究は、胚移植後の期間の身体活動を調査しなかったため、妊娠できなかった根拠が胚移植後に発生した身体活動によるものか、それより以前に発生した身体活動によるものかは不明です。

 

また、体外受精後の加速度計を使用した身体活動の収集で、着床期間中の正確な評価を可能にした論文があります。胚移植後~妊娠判定の日までの身体活動の客観的な測定値を取得するために、患者は腰に固定された加速度計を用いて、垂直方向の加速度を特定の周波数内で複数回測定しました。

結果としては、大多数の患者は胚移植後には活発な活動を示さず、観察された範囲内では身体活動の増加または座りがちな行動の増加は、着床、妊娠、または出産に影響を与えないとの報告でした。しかしこの研究では体外受精後に激しい活動を行った女性はほとんどいないため、高強度の身体活動が妊娠の結果と関連しているかどうかはわかりませんでした。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3982290/

 

また過度な安静、行動自粛は現在の生活様式で陥りがちですが、行動自粛によるストレスと不安の長期化は、末梢血中の大量の活性化T細胞と関連しており、これは免疫学的観点から着床に悪影響を及ぼす可能性があります。

https://www.rbmojournal.com/article/S1472-6483(09)00224-7/fulltext#bib9

 

これらのことから当院では胚移植後は過度な運動は控えるよう指導しておりますが、適度な運動(日常生活、ウォーキング等)は許容しております。むしろ過度な行動制限はストレスになるためお勧めできません。

また、胚移植後の性交渉は控えるよう指示しています。性交渉による子宮への直接な刺激がオキシトシンというホルモンを分泌し子宮収縮を促します。また、乳頭への刺激も同じくオキシトシンを分泌します。また、精液の中にはプロスタグランディンという子宮を収縮させるホルモンが含まれています。これらの理由により、胚移植後の性交渉は子宮収縮を誘発し胚の着床を妨げる可能性があるためお勧めできません。

胚移植を行い、帰宅後に出血や腹痛が起きる方もいます。不安な症状がある場合はぜひオンライン相談をご活用ください。

 - 不妊治療Q&A

インターネット予約はこちらから