新型コロナウイルスと母子感染、新生児予後について | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

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新型コロナウイルスと母子感染、新生児予後について

 

COVID-19パンデミック発生より1年以上経過しCOVID-19(SARS-CoV-2)感染の妊婦とその胎児に関する症例が蓄積してきています。

今回はCOVID-19に感染した母体から児への感染のリスクについて2020年10月までに公開された125件の記事などの情報源をまとめて整理した研究を紹介します。

本記事で注目している点は、母体から児への垂直感染と、垂直感染が記録された新生児の周産期転帰の情報です。周産期転帰には、呼吸窮迫症候群、窒息、周産期死亡(死産または新生児死亡)、COVID-19肺炎の発症、新生児集中治療室(NICU)入院、人工呼吸器の有無等が含まれていました。

本研究では感染した妊婦から新生児へのSARS-CoV-2の垂直感染(母子感染)の頻度が約4%であると判明しました。

 

Hui Zengらの報告では、出産直後の新生児の血液サンプルから、SARS-CoV-2RT-PCR、SARS-CoV-2IgGおよびIgM抗体検査を実施しPCRは陰性ですが、5人の新生児のIgGレベルが上昇し、2人の新生児のIgMレベルが上昇していました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7099444/

 

ZengらはCOVID-19に感染した母親から生まれた33人の新生児を追跡調査しました。分娩は陰圧隔離室で行われ、新生児の蘇生はガイドラインに従い、医師は保護具を使用し、母子接触を避けました。3人の新生児がPCR陽性でありCOVID-19を発症しました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7099530/

 

Dongらは陰圧隔離室にて帝王切開で出産した乳児について考察しました。母体はN95マスクを使用し、母体と児の接触はありませんでした。新生児は出生時に症状がありませんでしたが、生後2時間でSARS-CoV-2IgMレベルは45.83AU / mLと上昇していました。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763853

 

Zamaniyanの症例報告では、母体より出生直後に実施された新生児の鼻咽頭SARS-CoV-2RT-PCR検査は陰性でした。RT-PCR検査は、出生後24時間以内に採取された羊水サンプルと新生児の2回目の鼻咽頭スワブサンプルで陽性でした。羊水サンプルが陽性であることは、新生児の子宮内感染が起こったことを示唆しました

https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pd.5713

 

イタリアで実施された最近の多施設前向き研究では、COVID-19感染が確認された31人の妊婦とその児を調査しました。母体サンプルは、入院時、出産時、および産後に検査されました。すべての新生児の鼻咽頭スワブサンプルは、出産時に検査されました。31人の新生児のうち2人がSARS-CoV-2の検査で陽性でした。胎盤、胎盤血漿、臍帯血漿、母体の腟分泌物、および1人の新生児の鼻咽頭サンプルは、SARS-CoV-2RT-PCRによって陽性でした。2人目の新生児の胎盤および鼻咽頭スワブはRT-PCRによって陽性と検出されました。

https://www.nature.com/articles/s41467-020-18933-4

 

英国での研究では、病院に入院した427人COVID-19感染妊婦を追跡しました。243人の新生児のうち、5%がCOVID-19陽性であり、そのうち6人が生後12時間以内に陽性でした。

https://www.bmj.com/content/369/bmj.m2107

 

COVID-19母子感染の報告
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15513815.2020.1865491改変

COVID-19感染新生児の転機

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15513815.2020.1865491改変

 

このレビューでは、17人の新生児がRT-PCRまたは抗体検査によってSARS-CoV-2陽性でした。17人の新生児のうち、死亡はなく、4人の新生児は発熱、2人は呼吸困難、2人は呼吸窮迫症候群、4人はCOVID肺炎、8人はNICUへの入院が必要で、4人は人工呼吸器が必要でした。子宮内感染であるかどうかあいまいな報告が多いですが、2つの研究がCOVID19に感染した母体より分娩後の新生児においてSARS-CoV-2 IgM抗体を報告しており、SARS-CoV-2の子宮内感染がある可能性があることを示唆しています。

IgM抗体は、分子構造が大きいため、通常は母体から胎児まで胎盤を通過できないため、SARS-CoV-2 IgM抗体が、胎盤を介した母親から胎児へのウイルス感染に対する免疫応答として新生児によって産生された可能性があると推測しています。

これらの文献より、明確なことはまだ分かりませんが、COVID-19に感染した妊婦より胎盤などを介して児への感染が起きる垂直感染(母子感染)の可能性は低確率ですが起こりうると考えられます。

妊娠期間中のCOVID-19感染による影響はまだ明らかではありませんが、特に妊娠後期の分娩前にはより一層感染防止対策を徹底して過ごすことが重要です。

妊娠前に新型コロナウイルスワクチンを接種することで妊娠した際の児への感染は防止できるため、妊活中の方は妊娠前の接種をお勧めしたいと思います。

 

当院は新型コロナウイルスと不妊治療・妊娠の関係性などについても正しい情報を発信するよう心がけております。詳しくはお知らせ欄またはHP内の「Q&Aコーナー」をご参照ください。

・新型コロナウイルスのワクチンと妊娠について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210117/3929.html

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・新型コロナウイルスワクチンの種類について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210214/3963.html

・新型コロナウイルス感染と妊娠への影響について(各国情報のまとめ)

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210106/3908.html

・新型コロナウイルス(COVID-19)感染メカニズムと生殖について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200516/3507.html

・妊娠中の新型コロナウイルス感染による影響について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200815/3660.html

・うがい薬と不妊についての関係

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200805/3642.html

・紫外線による空気除菌での新型コロナウイルス対策について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20201127/3851.html

(参照:茨城県の新型コロナウイルス感染症に関する情報

https://www.pref.ibaraki.jp/1saigai/2019-ncov/kaiken200818.html)

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