新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンは妊娠中や不妊治療に影響はありますか? | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

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新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンは妊娠中や不妊治療に影響はありますか?

 

CDC(疾病対策予防センター)によると、重篤な健康への影響の可能性は低いものの、COVID-19の妊娠中の人々は、妊娠していない女性と比較して、ICU入室、人工呼吸器、および死亡をもたらす病気を含む重篤な病気のリスクが高い可能性があり、COVID-19感染の妊婦は、COVID-19のない妊婦と比較して、早産などの有害な妊娠転帰のリスクが高い可能性を示唆しています。

ファイザー社とモデルナ社の新型コロナウイルスのワクチンは生きたウイルスが含まれているわけではなく、mRNAを含有したワクチンです。(アストラゼネカ社はウイルスベクターワクチン) mRNAワクチンを含むCOVID-19ワクチンはウイルス自体を用いる既存のワクチンとは異なり、基本的にはCOVID-19に感染することはありません。ワクチンの有効性はファイザーワクチンは95%有効、モデルナワクチンは94%有効です

https://www.pfizer.com/

DNAまたはRNAワクチンの目標は従来のワクチンと同じですが、機能が少し異なります。既存のワクチン(風疹麻疹ワクチン等)は弱体化したウイルスや細菌を体内に注入し自然の感染の場合と同じように体に抗体を生成させます。

       

これに対し、DNAおよびRNAワクチンは、弱体化したウイルスや細菌を体内に注入する代わりに、ウイルス自身の遺伝子の一部を使用して免疫反応を刺激します。特にmRNAワクチンは核に侵入せず、ワクチン接種者のヒトDNAを変化させません。

       

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2019.00594/full

https://biontech.de/covid-19-portal/mrna-vaccines

アメリカ産婦人科学会(ACOG)、アメリカの予防接種実施諮問委員会(ACIP)によると、妊娠中に投与されたCOVID-19ワクチンの安全性に関するデータはまだ研究段階です。

妊娠中および授乳中の女性は、ファイザーおよびモデルナのCOVID-19ワクチン臨床試験から除外されており、ワクチンが妊娠中または授乳中の人々にとって安全であるかどうかを確実に知るために利用できる確固たる安全性データはまだありません。

しかし、モデルナ社によると妊娠前または妊娠中にModernaCOVID-19ワクチンを接種したラットでは、安全上の懸念は示されませんでした。

また、2020年11月14日の時点で判明したこととしては、ファイザーは、ワクチングループの12人を含む、23人の妊娠中の方が誤って臨床試験に登録したと報告しました。これらの妊娠は現在問題なく経過しています。モデルナは、ワクチングループで6人、プラセボグループで7人を含む、13人の妊娠を臨床試験で報告しました。これらの妊娠も経過進行中です。

https://www.fda.gov/media/144434/download

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33370015/

ワクチン接種前に必ず妊娠していないか確認することは必要なく、また妊娠しようとしている人は、mRNACOVID-19ワクチン接種後の妊娠を避ける必要はないとのことです。

また、COVID-19ワクチンは、別のワクチンを受け取ってから14日以内に投与しないよう呼び掛けております。妊娠中の方は、COVID-19ワクチンの投与後14日間、他のワクチン接種を延期する必要があります。

さらに、ワクチンの作用機序と安全性プロファイルを考えると、COVID-19mRNAワクチンは不妊のリスクを高めるとは考えられないと報告されております。

https://www.acog.org/clinical/clinical-guidance/practice-

CDCによると、副作用、有害事象は一般の方と同様に現れると予想されており、注射部位の痛み、発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛、倦怠感、およびその他の症状が、各ワクチン接種後、特に2回目のワクチン接種後に現れることがあります

また、COVID-19 mRNAワクチンは、授乳中の乳児にとってリスクとは考えられていません。これは米国の母乳育児医学アカデミーでも同様に提言されております。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/recommendations/pregnancy.html

https://abm.memberclicks.net/abm-statement-considerations-for-covid-19-vaccination-in-lactation

 

英国では、予防接種に関する合同委員会(JCVI)によると妊娠中のCOVID-19ワクチンの日常的な使用を推奨するには証拠は不十分であるとしています。

しかし、妊娠中でもCOVID-19に感染することで重症化する可能性が考えられる病態(臓器移植後、免疫抑制剤使用、透析中、心疾患合併、血液疾患合併など)の場合は接種は考慮してもよいとしております。

一方、JCVIはまた、これらのワクチンを授乳中の女性に与えることに既知のリスクはないとアドバイスしています

英国産婦人科学会としては、JCVIからのこの最新のアドバイスは、妊娠中のワクチン接種は、最前線の医療従事者または社会福祉従事者であるか、COVID-19に感染した場合に深刻な合併症を起こすリスクが非常に高い基礎疾患のある女性に考慮されるべきとしています。また、妊娠しようとしている女性は予防接種後に妊娠を避ける必要がないとしています。

https://www.rcog.org.uk/en/news/updated-advice-on-covid-19-vaccination-in-pregnancy-and-women-who-are-breastfeeding/

最後に日本で接種開始が考慮されているワクチンについてお示しします。

https://www.bbc.com/news/health-55129336

 

本記事のまとめ

・妊婦に対してCOVID-19 mRNAワクチンの安全性を証明するデータはないが、ワクチンの性質上は悪影響を及ぼす可能性は高くない

・医療従事者やCOVID-19感染で重症化しうる基礎疾患をもつ方が妊娠している場合は接種を考慮すべき

・ワクチン接種前に必ず妊娠していないか確認することは必要なく、また妊娠しようとしている人は、COVID-19ワクチン接種後の避妊の必要はない

・授乳中の安全性を証明するデータはないが、各メーカーやCDC、ACOG、JCVIはmRNAワクチンは授乳中の乳児にとってリスクとは考えられていない。

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