インフルエンザワクチンは不妊治療中でも受けることはできますか? | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

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インフルエンザワクチンは不妊治療中でも受けることはできますか?

 

インフルエンザ 不妊 ワクチン

不妊治療中にインフルエンザワクチンの接種は可能ですか?という質問をよく頂きます。

日本の産婦人科診療ガイドライン2020年度版では「妊婦へのインフルエンザワクチン接種はインフルエンザの予防に有効であり,母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低い」とされております。

妊娠中にインフルエンザに感染した場合,心拍数,心拍出量,酸素消費量が増加し肺活量が減少するため,呼吸器合併症発生のリスクを高める可能性があります。

https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(08)03479-1/fulltext

また,インフルエンザ感染により自然流産,早産,低出生体重児,胎児死亡が増加するといわれています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23323868/

これらのことから,妊娠する可能性がある時期,つまり不妊治療中はインフルエンザに感染することを防ぐ必要があります。

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンというものであり,病原性を無くした細菌やウイルスの一部を使用しており,接種後にウイルスが増殖するということはありません。

また,米国疾病予防局(CDC)および米国産婦人科学会(ACOG)は,妊婦へのインフルエンザワクチン接種はインフルエンザの重症化予防に最も有効であり,母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いとして,インフルエンザ流行期間に妊娠予定や妊娠中(妊娠期間に関係なく)の女性へのインフルエンザワクチン接種を推奨しています。

文献的考察としては2014年に報告された,インフルエンザワクチンと胎児への影響を調べた27の研究のまとめでは,インフルエンザワクチン接種と胎児の死亡や早産などの関係はないことが報告されています。

https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/1471-0528.12977

また,同じく2014年に報告された19の研究のまとめではインフルエンザワクチンと流産や先天異常の発生には関係がないことが報告されております。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264410X15002686

また,インフルエンザワクチンには,防腐剤としてエチル水銀(チメロサール)を含有している製剤と含有していない製剤がありますがチメロサールを含んでいる製剤もその濃度は極少量であり,胎児への影響はないとされています。

https://pediatrics.aappublications.org/content/126/4/656.long

また,2018年には大阪産婦人科学会の調査により妊娠中や出産後のインフルエンザワクチンの接種は妊娠した際に,出産後乳児におけるインフルエンザの発生とインフルエンザ発症による入院を減少させることを示しました。これは,乳児はインフルエンザワクチン接種が難しいため,母体が接種することで乳児への感染を防ぐという意味合いです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5853312/

 

インフルエンザワクチンの効果は,接種後約2週間後から約5か月とされており,日本では流行は1月~3月が中心と考えると,ワクチン接種時期は10~12月中旬を理想です。また授乳婦にインフルエンザワクチンを投与しても乳児への悪影響はないため,希望する褥婦にはインフルエンザワクチン接種を推奨しております。

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今年はインフルエンザだけでなく,新型コロナウイルス感染の対策も必要です。

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