不妊治療に有効な運動はありますか? | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

*

不妊治療に有効な運動はありますか?

 

不妊治療に効果がある運動はありますか?、妊娠するために運動はした方がよいですか?などの質問をよく頂きます。

運動による体重減少は、代謝機能とホルモンバランスを改善し、生殖能力の上昇に効果があるとされています。一方過度な運動は排卵障害を引き起こし生殖能力の低下を導く可能性があります。今回は運動と不妊治療、妊活への効果について、論文考察を踏まえて解説させて頂きます。

1997年のノルウェーでの研究では、生殖能力に対する運動の影響は、特定のレベルまでは有効であるが、過度な場合は有害な影響を与える可能性があると報告されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19801570/

また、少なくとも60分間激しく運動した女性の不妊のリスクは6.2倍増加するという報告があります。通常の女性では、エネルギー摂取量を超える高負荷な運動により、生殖機能の維持に必要なエネルギー配分を減らしてしまう可能性があります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1646979/

 

対照的に、毎日少なくとも30分間の激しい運動をしている女性の排卵性不妊のリスクが低いことを示しています

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17978119/

 

また、1994年から2003年に行われたアメリカでの多施設共同研究によると、週に4時間以上運動を行う女性は、体外受精で出生率が40%減少しました。そして定期的な運動をしていない女性と比較して着床不全および流産のリスクが2倍増加しました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17012457/

 

では、具体的にはどのような運動をどれくらい行えばいいのでしょうか?

2007年にアメリカでは各運動の代謝当量(MET)×運動時間(分)×週当たりの頻度をMET-min/weekと表現してこの指標と体外受精による妊娠の関係を調査しました。

METはウォーキングで2.5、ランニングで4.5、サイクリングで6程度です。

結果として、体外受精を受けている女性では中等度の運動が着床率と出生率の上昇に関連していることがわかりました。

中等度の運動とは、600 MET-min/week以上3000MET-min/week未満と定義しています。具体的にはウォーキングを毎日35分間(週末だけなら2時間)、ランニングを毎日20分間(週末だけなら1時間10分)、サイクリングを毎日15分間(週末だけなら50分間)行うとよいと考えられます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20113966/

 

同じく2007年に「SnartGravid」研究という、デンマークで妊娠を計画している18〜40歳の女性を対象とした運動(運動時間と種類)と妊娠の関係を調査した前向きコホート研究があります。

運動時間の分類は、1時間未満、1時間以上、2時間以上、3–4時間以上、5時間以上とし、運動の種類の分類は

・活発な運動:ランニング、高速サイクリング、エアロビクス、体操、水泳

・中程度の運動:活発なウォーキング、ゆっくりとしたサイクリング、ゴルフ、ガーデニング

と分けられました。

検査したすべての女性で活発な運動が妊娠率の低下と関連しており、中等度の運動は、妊娠率の軽度な増加と関連していましたが、BMIが25以上の肥満女性では活発な運動は妊娠率の軽度増加に関連していました。

ウォーキングを主に行う女性と比較して、ランニング、エアロビクス、サイクリングなどを行う女性では妊娠率が低い傾向があります。

また、活発な運動は時間に依存して妊娠率は低下しますが、逆に中等度の運動では時間に依存して妊娠率は増加しました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3340509/

 

2013年にPregnancy Study Online(PRESTO)という、アメリカやカナダの21〜45歳の妊娠を希望する女性の運動と妊娠に関する前向きコホート研究が行われました。

高度な運動は、サイクリング、ジョギング、水泳、ラケットボール、有酸素運動、ウェイトトレーニング/筋力トレーニングとして定義されました。中程度の運動は、ウォーキング、ガーデニング、ヨガとして定義されました。

中程度の運動と妊娠率の正の関連性が見つかりました。活発な運動は、肥満の女性の妊娠率の増加と関連していましたが、正常体重の女性とは関連していませんでした。

https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(16)61103-2/fulltext

 

これらの論文や研究をまとめると、適度な運動は妊娠に良い効果をもたらしますが、過度な運動は逆に悪い影響をもたらすということが推測されています。

適度な運動はウォーキング、ガーデニング、ヨガ、ゴルフ、ゆっくりとしたサイクリング等が挙げられます。より具体的には、ウォーキングを毎日35分間(週末だけなら2時間)、ランニングを毎日20分間(週末だけなら1時間10分)、サイクリングを毎日15分間(週末だけなら50分間)行うことが推奨されます。

 

ウォーキングの写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

朝の公園でヨガを行う若い女性 の写真素材・画像素材 Image 68552044.

 

また、妊娠するためには運動だけではなく食事も重要です。

妊活に必要な食事についてはこちら

 

 - 不妊治療Q&A , , , , , , , , , , ,

インターネット予約はこちらから