新型コロナウイルス感染による不妊治療への影響について | 茨城県小美玉市の不妊治療・婦人科 小塙医院

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新型コロナウイルス感染による不妊治療への影響について

 

新型コロナウイルス感染の病態について研究が進み、感染による不妊への影響や、ワクチン接種による不妊への影響が徐々に明らかになってきています。

ASRM Coronavirus/COVID-19 Task Forceでは新型コロナウイルスは配偶子(精子や卵子)や胚には影響しないであろうと発表しています。

https://www.asrm.org/news-and-publications/covid-19/

実際新型コロナウイルス陽性の患者からは採卵した卵子には感染は認められませんでした。

https://academic.oup.com/humrep/article/36/2/390/5913391

また、新型コロナウイルス陽性男性の精子にもウイルスは検出されませんでしたが、精子数が減少しました。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/andr.12939

 

精巣および男性生殖管におけるACE2およびTMPRSS2の発現は、精巣がSARS-CoV-2感染に感受性のある器官でもあることを示しています。多くのウイルスは、ウイルス性精巣炎を引き起こし精液所見に影響を与えることがあり、新型コロナウイルス感染でも同じく精液所見に悪影響を及ぼす可能性がありますが、議論が分かれています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7711165/

 

2020年5月から2021年2月まで武漢の不妊治療センターで新型コロナウイルスに罹患した群、罹患していない群で体外受精の成績に影響が出るかどうか調査しました。

その結果、成熟卵数、正常受精率、利用可能な胚盤胞獲得率、臨床妊娠率、生化学的妊娠率、早期流産率に差はなく、新型コロナウイルスに罹患することでIVFの成績が大きく下がることはないと考察しています。

https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(21)00293-5/fulltext

 

最近のスペインのIVFマドリードの研究では、新型コロナウイルスに罹患した場合にAMH(卵巣予備能)に影響があるか調べていますが、平均年齢38歳のグループ、平均年齢34歳のグループで両グループともに新型コロナウイルス感染によりAMHが低下することはなかったと結論付けています。

https://english.lokmat.com/health/prior-covid-infection-wont-affect-ivf-success-study/

当院のQ&Aでも、卵巣や子宮、胎盤など、女性の生殖器官にはすべて新型コロナウイルの侵入に必要なACE2受容体が存在することはお話していますが、これらの研究から、新型コロナウイルスに感染したとしても、不妊治療において大きな悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられます。

これら結果から、おそらく新型コロナウイルスワクチンを接種してもIVF成績に大きな影響はないと予想されますが、実際はどうでしょうか。

 

中国での発表で、36組の夫婦の新型コロナウイルスワクチン接種後のIVF経過を調べたものがあります。

対象患者は2回目のワクチン接種の前後に調節卵巣刺激を受け投与前後の成績を比較しました。(接種からIVF施行までの期間は7〜85日)

ワクチン接種前後で回収された卵母細胞と成熟卵母細胞の数、受精率、良好胚、2PN数あたりの良好胚の比率、または精液検査の差はなかったとしています。

ワクチン接種後の胚移植をした10人中3人は妊娠しました。

mRNA SARS-CoV-2ワクチンが、直後のIVF成績に影響を与えないと考えられます。

理由としては、卵胞形成と精子形成に中程度の影響を与える、ワクチンによって誘発される全身性炎症の程度が低いためと考えられるとしています。

https://rbej.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12958-021-00757-6

 

また、海外では体外受精などの不妊治療中に新型コロナウイルスワクチンを接種することを禁止はしていません。

アメリカで大手の不妊クリニックであるRMAでは不妊治療中のワクチン接種を許容しております。ただし、副反応による影響を考えて処置(卵管造影・子宮鏡など)や手術(採卵など)の前後3日間でのワクチン接種は控えるよう警告しています。

https://rmanetwork.com/blog/covid-19-vaccine-and-fertility-qa/

 

 

英国のNHSでは英国不妊学会と生殖臨床科学者協会より、ワクチンと不妊治療についてのFAQを作成しています。

新型コロナウイルスワクチン接種は不妊治療中には可能であるが、副反応が採卵など処置に影響しないよう時期を検討すべきとの見解を示しています。

https://bwc.nhs.uk/coronavirus-vaccine-fertility-faqs

 

では、男性では新型コロナウイルスワクチン接種が不妊治療に影響を与えることはあるのでしょうか。

アメリカでのmRNACOVID-19ワクチン接種を予定している18〜50歳の男性の研究ではワクチン接種後に精液量、精子運動率、精子濃度が減少することはありませんでした。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2781360

 

結論として

・新型コロナウイルス感染による女性不妊への影響は現時点では少ないと考えられる

・新型コロナウイルス感染による男性不妊への影響に関しては精液所見に影響を及ぼす可能性は否定できない。

・新型コロナウイルスワクチン接種は男女ともに不妊治療に影響を及ぼす可能性は少ないが、副反応の可能性を考慮し、処置(子宮卵管造影など)や手術(採卵など)の前後での接種は控えるべき

と言えます。

 

当院もこれらの報告を受け、新型コロナウイルスワクチン接種を推奨しております。

当院は新型コロナウイルスと不妊治療・妊娠の関係性などについても正しい情報を発信するよう心がけております。詳しくはお知らせ欄またはHP内の「Q&Aコーナー」をご参照ください。

・新型コロナウイルスのワクチンと妊娠について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210430/4027.html

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210117/3929.html

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210314/3996.html

・新型コロナウイルスの変異株、ワクチンの有効性について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210523/4043.html

・新型コロナウイルスワクチンの種類について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210214/3963.html

・新型コロナウイルス感染と妊娠への影響について(各国情報のまとめ)

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210419/4015.html

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20210106/3908.html

・新型コロナウイルス(COVID-19)感染メカニズムと生殖について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200516/3507.html

・妊娠中の新型コロナウイルス感染による影響について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200815/3660.html

・うがい薬と不妊についての関係

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20200805/3642.html

・紫外線による空気除菌での新型コロナウイルス対策について

http://www.ivf-ibaraki.or.jp/20201127/3851.html

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